■第一章 目的と理論
[目的]
旋光度計を用いてショ糖の転化反応の速度を測りそれを用いて転化反応速度定数を求める。
[理論]
ショ糖の酸による加水分解は次式のように表わされる。
C12H22O11+H2O+H+ →2 C6H12O6+H+・・・1
この変化をショ糖の転化という。
ショ糖の濃度、水の濃度、水素イオンの濃度(触媒として加えられた酸)は、転化速度と比例する。
※希薄溶液では水素濃度は一定とみなして差し支えなく水素イオン濃度も反応の進行に伴って変化しない。従ってショ糖自身の濃度にのみ比例する。すなわちショ糖に関し、一次反応となるはずである。
ここで温度一定時における反応速度は、反応物質の濃度が時間に対して減少する割合で定義される。
一次反応:反応速度が反応物質の濃度に比例する
-DCA/dt=k・CA・・・2
CA:反応物質Aの濃度、k:比例定数
時間 t=0および tにおけるショ糖の濃度の値をそれぞれC0、Cとすると2より
-ln (C/C0)=k・t・・・3
C/C0は濃度比だから濃度に比例する他の量で置き換えることができる。
反応物質t=0における濃度をa、t時間の減少量xとするとt時間後のショ糖の濃度は
(a-x) [mol/l]・・・4
3、4より
k=(1/t)・ln(C0/C)=(1/t)・ln[a/(a-x)]=(2.3/t)・log[a/(a-x)]・・・5
ショ糖は(+)で右旋光、転化糖(ブドウ糖+果糖)は(ー)で左旋光。これらは旋光度計を用いて測定できる。
A0:ショ糖水溶液の最初の面の偏光面
A∞:長時間後における回転角
(A0-A∞)は比糖の全濃度に比例する
A:最初よりt時間後の回転角
残存しているショ糖の量は(A-A∞)に比例するべきである。よって5より
k=(2.3/t)・log[(A0-A∞)/(A-A∞)]・・・6
t時間後におけるAを測定することによりkを求めることができる。
d{log[(A0-A∞)/(A-A∞)]}/dt=k/2.3
k=2.3×(勾配)