■第一章 目的と理論
[目的]
活性炭に吸着する酢酸の量を測定し、吸着量と濃度との関係を調べる。
[理論]
酢酸水溶液中に活性炭を浸すと酢酸濃度が減少する。これは酢酸分子が活性炭に吸着するからである。
固体表面には、気体や溶液中の溶質が吸着される。その吸着能力は固体の物理的あるいは化学的処理によって著しい影響を受けるだけでなく、吸着される物質によってそれぞれ相異が認められている。これを選択的吸着という。
不均一固体触媒においては吸着能力のみならず、選択性が重要な意義を持つものである。吸着剤としては、活性炭、アルミナおよびケイ酸ゲルなどが代表的なものであって、ことに活性炭は毒ガスの除去、液体の脱色などによく用いられる。
吸着能力は、一定量の吸着剤に対する吸着量を測定して比較されるが、これは一定温度における被吸着物資の濃度および温度の関数である。一定温度における吸着量と濃度との関係を表わしたものが、吸着等温線である。
ある一定温度のもとに吸着剤と接して吸着平衡の状態にある溶液内部の溶質濃度をc(mmol)とするとそれらの間に次の関係がある。
x/m=a・cn [mmol/g] (1)
ただしaおよびnは定数であって一つの溶質および吸着剤については一定の値を有する。(1)の対数をとれば
log(x/n)=nlog(c)+log(a) (2)
(2)より
d[log(x/n)]/d[log(c)]=n (3)
であるから、log x/nとlog(c)との関係を直角座標を用いて図示すれば、Fig-1のように直線が得られるはずである。またこの直線がlog(c)軸となす傾きの角の正接がnに等しく、この直線がlogx/m軸と交わるてんからlog(a)の値が求められる。(1)はFreundlichの吸着等温式とよばれ溶液の濃度があまり小さくなく、またあまり大きくない範囲において実験事実をよく表わすことができる。

Fig-1 log(c)とlog(x/n)の関係