■第一章 目的と理論 水蒸気蒸留法により、沸点の高い化学物質、ニトロベンゼンの分子量の測定を行う。
沸点の高い物質に水蒸気を吹き込んで、その沸点よりも低い温度で留出される蒸留法で、普通の蒸留では分解してしまう物質や、沸点が高すぎる物質の蒸留は、減圧蒸留を用いればよい。
高沸点成分の分圧を減少させるため、水蒸気を吹き込んで蒸留すれば、高沸点成分と水の蒸気圧の和が全圧となるため、大気圧下で通常の沸点以下の温度で蒸留ができる。これを水蒸気蒸留という。
蒸留生成物が水に不溶な油類ならば、水と二液相を形成するので水を簡単に分離できる。水蒸気蒸留は多くの場合、減圧蒸留より高価につくため、減圧が小規模な回分蒸留でよく用いられる。この場合は、水蒸気発生器の沸騰液に直接水蒸気を吹き込んで行う回分蒸留が主流である。
留出液の組成は各液体の蒸気圧と分子量に比例する。すなわち、次の関係がある。
Wl/W2=P1M1/P2M2
ただし、P1+P2=外気圧で、
Wl、W2・・・留出した各成分液体の重量
Pl、P2・・・留出温度における各成分の蒸気圧
Ml、M2・・・各成分蒸気の分子量