■第一章 目的と理論
[目的]
酢酸エチルを加水分解させて、酢酸の増大を水酸化ナトリウムで滴定し加水分解定数を求める。
[理論]
A→B+Cにおいて、反応前Aの物質の濃度をa(mol/l)、時間t秒後におけるA濃度の減少量をx(mol/l)とするとt秒後のAの濃度は、(a-x)mol/lとなる。
反応速度Vは、単位時間に何molの物質が減少するかを表わすものだから、この場合Aの物質、本実験の酢酸エチルの減少量を微分したものになるので
V=-d[A]/dt=d[B]/dt=d[C]/dt・・・単位時間あたりのA濃度の減少量を微分したもの
-d(a−x)/dt=dx/dt-da/dt=dx/dt・・・この反応速度が(A)の一次に比例すると
dx/(a−x)=kdt・・・これを積分して
k=1/t・lna/(a−x)=2.303/t・loga/(a−x)
と、なり反応速度定数kは、反応時間とAの濃度の減少量を測定することにより求めることができる。
一定量の反応物を水酸化ナトリウムで滴定する。この滴定量は、t0時間のときT0で、t∞時間のときT∞である。これからaを求めることができる。
a(比例) (T∞-T0) Xは、Aの減少量で、t時間における滴定量をTとすると
X(比例) (T-T0)
k=1/(t-t0)・ln[(T∞-T0)/{(T∞-T0)-(T-T0)}]=1/(t-t0)・ln[(T∞-T0)/(T∞-T0)]
ln[(T∞-T0)/(T∞-T0)]は、反応時間(t-t0)に比例することから、前者を縦軸に、後者を横軸にしてグラフを書くと、その勾配よりkがもとまる。
k=dln[(T∞-T0)/(T∞-T0)]/d(t-t0) となる。