Web支援教育の推進
科学研究費申請の時期になると,申請用紙をWeb上に準備してくれる研究室に毎年お世話になっていた。しかし,2001年はそれに係る公募要領及び申請書等の入手先が指定され,申請者各自のダウンロード方式に文部科学省通達で変更になった。いつもボランティアの研究室からダウンロードしてきたので方式の変更には戸惑うことなく対応ができたが,あらゆる方面でWeb支援の情報配信が公的にも定着した感がある。文書の配布を含めたいろいろな情報がWebを通して配信され,逆に発信している。”Everything on the Internet”という高度情報化社会が定着しつつある。あらゆる分野で社会システムの連携と統合が起こり,新しいインフラが創造されて伝達方式も一変していくものと思われる。
文部科学省の高度情報通信インフラ整備が国立大学において済み,ようやく高専LANにも「ギガビット・ネットワーク・システム」が整備されようとしている。特に,ギガビット通信でのVOD(video on demand)を目玉とする整備が進み,Web支援を前提とした教育方式がいろいろな機関で模索されている。
そこで教育方法の情報化が進む中で,従来からの「板書」による教育方式との競合を考えてみた。教室にも高速LANが張り巡らされた段階では,様々な教育目的で情報の共有,発信,探索等が可能となる。高専の専攻科において放送大学の「ビデオ学習」による単位修得があり,それを例に挙げるとVOD方式の教育が実現する。著作権問題のクリアで実現すれば,カリキュラム内の時間に捕われずに学生の学習が個々に進められるようになる。校内ギガビットネットワークの有効活用である。具体的な事例として放送大学を挙げたが,教育機関においていかに教育コンテンツを構築するかである。そして,でき上がったものを各機関で有効利用するためのWebサービス形態をいかに構築するかである。ある教授の講義を「ビデオ教材」に作成した段階では「板書」での講義をビデオ化しただけであるが,それをVOD放送に構築してWebサービスすれば新しい教育方法のインフラ構築である。
これまで「物理化学実験」システムをビデオ動画入りで構築しインターネットで公開してきたが,従来のLANでは遅く,学生からの利用の評価は今ひとつであった。VODが整備されれば,充実したWebサービスが実現できることになる。教育に従事する者としてWeb支援の教育方法の改善には積極的に取り組もうではないか。
〔吉村忠与志(福井工業高専)〕