生ゴミによるエネルギー獲得

地球上の生命体は、自らの生体を維持するために、エネルギーを獲得しなければならない。地球には太陽から無尽蔵に降り注ぐ光エネルギーがある。光エネルギーを利用するエネルギー獲得には、大気環境に豊富に存在する水と二酸化炭素を利用する光合成がある。そして、その副産物として、生命維持に必要な酸素を発生してくれる。光合成により植物エネルギーを得ることができる。

人間は、エネルギーを消費するばかりで、人力ではエネルギーを生産していない。にもかかわらず、食物を中心とする動植物の生ゴミを廃棄し、それに化石エネルギーである重油をかけて焼却処理することで無駄にエネルギーを消費するだけでなく、二酸化炭素まで無責任に排気している。人間の生命維持行為からは何もエネルギーは得られない。人間は英知からエネルギーを生産する義務があるのである。

そこで、人間生活から排出される生ゴミから、微生物による嫌気処理によってメタンを生産することができる。そのメタンを改質すると、水素を生産することができ、燃料電池で電気エネルギーと熱エネルギーを生み出すことができる。メタンの改質時に水素の副産物として、二酸化炭素ができるが、それも光合成微生物培養システムを併合して、無尽蔵の太陽エネルギーから有用な有機物質を生産する。まさに、太陽エネルギーを有用に取り込むカーボン・サイクルによるエネルギーの獲得である。微生物嫌気処理+燃料電池+光合成微生物培養処理によるバイオマス融合システムを構築することによって、太陽エネルギーを持続的に有用獲得することができる。これこそが新エネルギーの創出である。

ダイオキシン汚染から始まった、生ゴミの高温焼却処理はいますぐ中止すべきであり、化石燃料による焼却は地球生命的に無駄以外の何ものでもない。各自治体が回収している生ゴミから持続可能なエネルギーを獲得することができる。福井高専が位置する鯖江市と武生市では、バイオマス活用による新エネルギーの創出を模索している。生ゴミ処理(公共事業)を担当する各自治体にバイオマス融合システムでの持続可能なエネルギー獲得を提案する。市町村で困っている生ゴミが新エネルギーの宝物になる日を夢見たい。

[吉村忠与志(福井工業高等専門学校)]