化石燃料使用以前のバイオマス時代に学ぶ

化石燃料を利用することにより、今日の科学技術が発展し、人間社会の文明の高度化に貢献してきたが、過剰な二酸化炭素を排気したために地球温暖化の元凶とされている。石油や天然ガスなどは長期の地球遍歴によって二酸化炭素が封じ込められたものである。それらを原料として使用して二酸化炭素を大気に排気することは、人間のエゴで大気中の二酸化炭素のバランスを崩すものに他ならない。

それに比べて、農林業から排出されるごみを燃やしても大気中の二酸化炭素量のバランスを崩すものではない。すなわち、植物の光合成による二酸化炭素の封じ込めを短期に行った成果が農林産物である。それらから排出されたごみを燃やしたとしても大気中にあったものであり、バランスの範囲内にある。人間は動植物を食料として食べ、生ごみを排出する。それを燃えるごみとして自治体が回収し、焼却していたらダイオキシンを排気してしまい、高温焼却を余儀なくされた。そのために、化石燃料に助けを借りて1000℃以上の高温焼却処分を行っている。これでは追い焼きのために、二酸化炭素を多く排気し、バランスを崩すことになる。生ごみの焼却処分を行ってはいけないのである。ゆえに、生ごみの処分にはバイオマス利用を提案する。そして、バイオマス時代は以前にあったことを自覚し、その時代に学ばなければならない。

不衛生としてごみ捨て場が無くなったが、著者の子供時代の家庭では、出る生ごみはごみ捨て場にその都度捨てに行ったが、ごみ捨て場では微生物分解が進み、山盛りになる醜い光景は起きなかった。今日では、ごみ捨て場に代わるものとしてバイオマス処分場を作り、そこから新しいエネルギーを獲得するのである。これに燃料電池を複合したとしても、水素ガスの改質のために排気する二酸化炭素は元々大気中にあったものであり、その総量バランスを崩すものでない。

この瑞々しい地球環境を持続可能なものとするために、化石燃料からなる物質から排気される、化石由来の二酸化炭素は、大気に排出せずオンサイトで二酸化炭素を固定化する技術が必要である。生物由来の物質から排気される二酸化炭素は、バイオマス処分に関連するものの、規制の対象とする必要が無い。バイオマスから新しいエネルギーを得て、化石燃料に頼らない持続可能な時代を形成しなければならない。

[吉村忠与志(福井高専)]