生ゴミはエネルギーの宝庫

生ゴミを高温焼却処理せずに、微生物発酵等による生ゴミ処理施設を導入する方向にあり、地球環境問題が地域社会で重要視されている。その中で、生ゴミ処理施設での爆発事故が発生している。ある爆発事例を挙げて生ゴミ処理に対する循環型社会の方向性を提案する。

大型の量販店では販売期限切れの生ものが大量に廃棄されゴミとなり、産業廃棄物となっていたが、近年その生ゴミを付加価値処理するために生ゴミ処理施設を導入し稼動しつつある。しかし、生ゴミを安易に取扱う無頓着思想があり、生ゴミ処理という事業に対して新規なものとせず、付け合せ的事業体制をとっているようである。生ゴミの発酵処理過程では可燃性ガスが必ず発生することを認識していなければならない。

従来までの自治体が管理する都市ガス管理で、爆発事故が起きていないのは専門家による管理体制がなされている成果である。しかしながら、現状での生ゴミ処理施設の導入に対して専門家による管理体制がまだ不十分であり、危機感が無く、片手間な作業領域とされていることにある。それを裏付けるような爆発事故が起きた。ある量販店の事例を検証すると、「処理施設から煙が出ている」との通報を受け出動した消防署員が施設のシャッターを開けた直後に爆発が起きたという。まとめると、この施設に可燃性ガスが充満したところに、シャッター摩擦等による火花(着火)で爆発が起きたことになる。事故施設を実地検証したわけではないが、ガスが充満しない設備による換気装置と可燃性ガスの検知装置の常備がなされていなかったのではと、その原因を類推する。そうであったとすると、生ゴミ発酵処理によるエネルギー変化の威力を過小評価したもので、人災と言わざるを得ない。

生ゴミの処理方法にはいろいろな手法があるが、生ゴミはエネルギーの宝庫であり、新エネルギーの旗頭である。そのためにも生ゴミを偉大なる一次エネルギーとして正しく評価し、不要物の汚名を排除し、それを処理する手法と施設を管理する技術者倫理の育成を急がなければならない。生ゴミ発酵処理という生化学反応で生成する可燃性ガスの種類を熟知して安全な処理施設の管理を利用者レベル(一般人)でもできるように、利用技術の向上と安全責務の育成が急務である。

[吉村忠与志(福井工業高等専門学校)]