地球は生きている

 

地球は人間活動とは関係なく生きているとつくづく感じさせられる。その寿命は50億年ある。地震が起こると自然災害だと人間は考えるが、時々火山活動が活発となり、大きな噴火が起こる。地球は地球自身のリズムで生きている。美しい富士山は噴火活動1万年で出来たと考えられているが、1万年というと人間という動物が進化した時間と相当する。現在も地球内部には地球環境を激変しうるマグマが活動している。「日本沈没」というSF映画が上映されたが、SFの世界だけにとどまる話ではない。最近の気象では、災害をもたらす風雨も多く、観測史上50年ぶりという被害が出ている。一例として、治水のために堤防が造られているが、その堤防を越える豪雨となり洪水が起きている。観測史上50年規模を考えて建設されているはずであるが、それを上回る豪雨となっているのである。すなわち、自然現象をコントロールできるとして建設した人工堤防も想定外以上の規模の洪水に襲われている。人間は避難するしかない。

2002年製作の映画「タイムマシン」をテレビで観賞したが、上映された50万年後の未来では現在の科学技術文明は消えていた。人間が生まれた1万年前の原始的文化生活を余儀なくされ、科学技術の成果は皆無であった。現代は石油資源による文明社会であり、典型的なものがガソリンで走る自動車である。砂漠の真ん中でガソリンが切れればただのガラクタである。すなわち、石油は枯渇寸前であり、ガソリン車は走れなくなるのはもうすぐである。

石油由来の文明は終末を迎えることは必至であるが、巷では「北朝鮮問題」に始まる核問題、すなわち、人間のエゴを剥き出しにした人間至上主義がまかり通り、政権争いに明け暮れる今日である。日本でも市場原理主義の経済が優先し、自然との共生の経済などは論争にもならない。もっと地球的視点での環境問題を重視しなければならない。

人間は科学技術によって快適な人工環境を獲得し、後戻りできないと勘違いしているかもしれない。石油や石炭がなくなり、電気を起こせなくなればコンピュータも動かない。経済の中心の銀行も動かない。想像も出来ないことがこのままでは起こる可能性が高い。そう考えると、今生きるわれわれ人間が幸せである一面、能転気なのかもしれない。今こそ、人間の叡智を結集して50万年後も自然と共生した文明で生きる人間社会が構築されていることを祈念したい。

[吉村 忠与志(福井高専)]