人間は地球に調和しているか

 

地球的視点から人間の動向をみると、まず人口の増加が環境問題の要因と考えざるを得ない。世界人口はインターネットで「世界の人口時計」と検索するとすぐ分かる。20041118日現在で6,40,768,000人と表示した瞬間、下二桁の数字が増加していた。どんどん人口は増えていたことを脅威に感じた。地球の適正人口が50億人と言われ、1987年に達成、60億人は1999年に通過した。世界人口の推移を表示したのが図1で、みごとに1953年を分岐に増大する傾きが極大化している。

図1 世界人口の推移

人間が近代科学技術を武器にいろいろな人工物を生産し、大量廃棄し始めたのも1950年代である。そのお陰で、生活環境は豊かになったかに錯覚したが、この後すぐに産業公害、環境汚染・破壊という地球環境問題が顕著になってきた。19501970年は闇雲に科学技術が発展した時代で、大量生産、大量消費、大量廃棄の総消費社会であったために、地球的視点で科学技術を見据える余裕すらなかったのである。

しかし、今日では、地球環境との調和を図ることが前提で科学技術が運用されるようになったにもかかわらず、図1の人口増加の傾きは一向に緩む気配が見られない。それは日本だけの問題ではないが、地球と調和するという観点から、早急に対処すべき難問である。

[吉村忠与志(福井高専)]