地球の適正人口は何億人か
世界自然保護基金(WWF)は、人間が自然資源を消費することにより地球環境に与える影響を測定する指標としてエコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint, 生態学的足跡)を定めている。これは人類による再生可能な自然資源の使用を測定したものであり、人間1人当たりの平均消費量や科学文明による社会システムによって異なる。地球の人口とエコロジカル・フットプリント(地球個数表現)を図1に示す。図1は人口とエコロジカル・フットプリントの原点を一致させてプロットするとほぼ傾きが同じとなる。これから何がわかるかというと、地球1個に対しての適正人口は約50億人ということが推定される。
図1 世界の人口とエコロジカル・フットプリント
(出典): WWF “Living Planet Report 2004”より作成。
現在の世界人口は64億人となっており、既に過剰となっているが、図示される人口増加の傾きが減少傾向を示したというデータはなく、どんどん増加している。世界中でアメリカ人並みの生活をすると、1999年では地球は5個必要と計算されている。あと4個の地球を捜し求めなければならない。人類が安住できる地球はこの地球唯一つであり、他に求めることができない現状の中で、人口増加という人類の繁栄は、人類破滅の一途としてしか考えられない。
(吉村忠与志[福井高専])