地球1個分で生活するということは

 

20世紀までの世界は科学技術も社会経済も弱肉強食の時代であり、先進国と後進国という国家間の格差をグローバルに容認してきた。この格差は国家間の戦争という手法によって入れ替えが起こり、地球規模での環境は維持・持続されてきた。その戦争も1945年の大戦以降は、アメリカ警察の下で大戦規模にはならないようになり、人間社会をリセットするようなことは起こらないようになった。世界中が一見幸せになったような気がするが、人間が住める所はこの地球1個しかないのである。そして、エコロジカル・フットプリント指標によると地球1個分は1987年にオーバーしたことは事実である。地球温暖化の元凶とされる二酸化炭素は、森林を構成する樹木と草花が固定化を担当してくれているが、その森林も図1のような減少推移を示している。そして、21世紀になった今日も減少速度は弱まっていない。

  図1 世界の森林の減少推移

  出典 : http://www12.och.ne.jp/~take03/index.htmlを参考に作成。

 

世界の森林の43%が熱帯林であり、熱帯林の違法伐採による森林破壊が図1の減少推移の主な原因となっている。後進国に違法伐採を助長しているのも先進国であり、熱帯雨林を開墾して生産されたえび等が安いからといって購入しない。地産地消の農業経済を推進し、日本の自給率40%をできるだけ上げることに国を挙げて努力すべきである。

先進国を技術でも経済でも自負する者は、一人ひとりが地球環境を持続する義務を認識しなければならない。少し不便になるかもしれないが、地球1個分以上の過剰な利便を無くし省エネルギーを意識して生活することが必要である。

[吉村忠与志(福井高専)]