飽食は地球を破壊する

 

ガソリンが4月に高騰したかと思っていたら、5月にまたさらに高騰した。石油文明からの脱却を予感させる出来事であるが、福井では田植えの時季に来て、田んぼには緑の麦の絨毯と水鏡の水田が一面に広がる光景となり、穀物の豊かさの証がある。2003年の米の自給率が95%と聞くと、福井の田んぼも食糧確保に貢献しているなぁと思っていたい。

しかし、少しデータは古いが、FAOによると、図1の報告(1997)があり、ドイツ、アメリカをはじめとする主要国の中で、日本は28%ときわめて低い数値が報告されている。人口12.4億人の中国がこの時点で95%の自給率である。

1 主要8ヶ国での穀物自給率と人口

出典: FAO, ”Food Balance Sheets”, 1997より作成

 

日本は経済発展によって便利になり、食事の大半を加工食品や外食に頼り、農業政策の転換でも低自給率化を招いてしまった。食糧輸入大国の日本は、飽食に甘んじ、フードロス(食糧廃棄)を日常化している。日本のフードロスは世界の食糧援助量よりもはるかに上回っており、世界的にダントツである。隣国が食糧の輸入大国に転じた時、日本の食糧不足は必至である。飽食は地球環境を破壊していることを自覚し、地産地消による食糧確保を推進しなければならない。

[吉村忠与志(福井高専)]