生ごみを資源化するライフスタイルを

 

科学技術の発展により生活が豊かになった反面、資源やエネルギーを浪費している。前回、飽食による食糧の浪費からの地球環境破壊について論じた。飽食の果てに食べ残された生ごみは、燃えるごみとして回収され、浄化センターで重油を付加して高温焼却処理されている。その現状を踏まえ、このままのライフスタイルを継続することができないことは明白である。「食は文化」としてグルメブームが巷のテレビやマスコミで話題となっているが、食べ残した生ごみには関心がもたれていない。コンビニやスーパーでは、賞味期限切れの食品がラップ包装されたまま、生ごみとなって焼却処分となっている。食中毒問題など、いろいろな課題はあるものの、「もったいない」という日本風土に生きた慣習はどこにも見当たらない。

日本の社会システムは、経済発展というバブルを経験してから「もったいない」という省エネ・省資源の美学を忘れ、消費・浪費による安全・安定の食糧確保を優先してきた。食品に関してラップと発泡スチロールトレイという包装容器のごみは生ごみとの混合ごみとなり、重油を伴う高温焼却処理を余儀なくしている。遠くの国から石油エネルギーを使って仕入れ料理することが美味しい食文化では決してない。この社会システムを変え、食べ残したものを生ごみとせず、資源化するライフスタイルに改善することを提案する。

NHKスペシャルで取り上げられていた、スウェーデンで始まった環境革命の事例を挙げる。そこでは生ごみはすべて分別回収されて浄化センターでメタン発酵されて「バイオガス」として家庭に配給されてエネルギーの循環が実践されていた。市内をかけるバスは「バイオガス」で走っていた。バイオ燃料の利用はスウェーデンが16%に対して、日本は1.4%となっており、増え続ける生ごみがエネルギー源の対象か否は明白である。

大量に石油資源を消費することから脱皮して、循環型社会へのライフスタイルに移行する意識を持って生活することが必要である。生ごみを分別回収してバイオ燃料を増産し、循環型エネルギーを利用することが持続的社会の構築には不可欠である。

生ごみは水分が多いため焼却するより、メタン発酵に優れている。食べ残した生ごみもエネルギー源とするライフスタイルを構築し、「食は文化」の日本スタイルを確立し持続可能な発展を遂げよう。

[吉村忠与志(福井高専)]